光を背負う、僕ら。―第2楽章―




「…い、言ってないに決まってるでしょう?」


「なんで?あいつ、また来るかもしれないじゃん。この前みたいに……」


「――来るわけないよ」




真藤君の声を掻き消してしまうほどの声が、意外にもあっさりと出た。



口を動かすことを阻まれた真藤君の唇が、ゆっくりと閉じられる。




「来るわけ…ない。だって今日だって、来てないでしょう?」




下校時刻を知らせる時は、もうすぐそこまで来ている。

でも、伸一は来ない。



いつもこの部屋を訪れる時間も、この前メモ用紙を起きに来た時間も。

とっくに過ぎたというのに、彼は来ない。



それが何を意味しているかなんて、考えなくても感じ取ってしまう。


それに……。




「真藤君だって、見たでしょう?今日の放課後、佐藤君と小春ちゃんが一緒に帰っていくところ」




涙が出ることも、胸の痛みを感じることもない。



でも数時間前に見てしまった仲睦まじい二人の姿が目に浮かぶと、現実を知った心が空っぽになった。