「…ねぇ、いつから部屋に入ってきてたの?」
「ついさっきだよ。…まぁ、それより前からは部屋の前にいたけど」
「部屋の前にいたのなら、別に入ってきてくれても大丈夫だったのに…」
「入ったら掃除を手伝わされそうだったから、やめた」
「ははっ、何それ!」
乾いた笑いが小さく溢れる。
真藤君とこんなにも平然と話せているのが、自分でも不思議だった。
告白されてから気まずくなっちゃうかなって思ってたけど…。
真藤君はあたしに気を遣わせないように接してくれる。
…それがすごく助かった。
きっとこの場合は逆にあたしが普通に接してあげるべきなんだろうけど、真藤君はあたしにそれが出来ないことを分かってる。
それは嬉しいけれど、申し訳ないような気もした。
「…なぁ。何で部屋の掃除なんかしてたの?」
真藤君の問いかけに、脱いでいたブレザーに腕を通す仕草が止まる。
一瞬だけ戸惑ってしまったけれど、気にしていない素振りでブレザーを羽織った。



