光を背負う、僕ら。―第2楽章―




「あっ、そうそう」




半年ほど前の思い出を振り返る頭に真剣な声色が響いて、意識が取り戻された。

慌てて、改めて前を向く。




「特待生の話なんだけど…。小春ちゃんにも同じ話が来てるってことは、佐奈ちゃんも知ってる?」


「あっ、はい。一応、噂ではそうだと聞いています」




脳裏には、教室で嬉しそうに友達に特待生の話を報告する小春ちゃんが浮かぶ。



どうやら特待生の話が来たのは、あたしだけではなかったらしい。



…まぁ、よくよく考えれば当たり前だ。


あたしに来る話が小春ちゃんに来ないわけがない。



……実は改めてこのことを考えてみて、結構重大な事実に気付いたんだ。



あたしも小春ちゃんも、東條学園への進学を志望している。

そして同じように受けた特待生の話。


見た目は同じラインに立っているように見えるかもしれない。



…でも、自分が立つ土台はどうだろう。



幼い頃からずっとピアノのレッスンを受けて、有名なコンクールで優勝するほどの実力を持つ小春ちゃん。


それに比べてあたしにはブランクがあるし、短時間でのレッスンがすべて実力に繋がっているのかも分からない。



目に見えない土台。

でもそれが、一番重要なはず。



あたしの課題は、この不安定な土台をいかに固めていけるか。



やっとのことで小春ちゃんに追い付きかけたことで、見えたのはそれだった。