光を背負う、僕ら。―第2楽章―




「……私は、佐奈が羨ましかったのかもしれません。あまりにも昔の自分と同じで、楽しむようにピアノを弾いていたから。
…親として最低です。自分が弾けなくなったからって、可能性があるこの子にピアノを弾くことを禁止させてしまったのですから。……ごめんね、佐奈」


「お母さん…」




申し訳なさそうに眉を下げるお母さんに「最低なんかじゃないよ」と言えたら、どれだけ良かっただろう。

…でも、あたしは言えなかった。



お母さんにピアノを禁止されて、今日まで夢を認めてもらえたなかった日々。


それには散々悩んだり苦しんで、悔しくて涙さえも流した記憶がしっかりと残っている。



だから、あたしだって簡単にはお母さんの気持ちは理解出来ない。



……でも、お母さんだって苦しんだ結果に招いたこと。



『羨ましかった』と言うお母さんは、あたしと同じくらい悲しい思いをしていたのかな……。



そう考えると黙っているわけにもいかなくなり、おずおずとお母さんの手首を掴んだ。


……すべての発端を示す傷痕が残る、右手首。