光を背負う、僕ら。―第2楽章―




「…家族がいたから、なんとか乗り越えていくことが出来ました。学園長先生や周りの人の支えにも、同じことが言えます。
まぁ…、ピアノにはまだ少し未練が残りますけどね。でもこれからは、この子の未来を純粋に応援してあげたい。これが今の私に出来る、精一杯のことだから」


「そうか。それはいいことだよ。……今の佐奈さんは、若い頃の君によく似ている。ピアノに対する強い想いが、特にね。
そんな佐奈さんを君が支えていくなら、それほど力強いものはないだろう」




その言葉を聞いて、嬉しいようで恥ずかしいようなこそばゆい気持ちになった。



隣でお母さんが「ふふっ」と楽しそうに笑う。




「確かに、よく似ているかもしれません。私もあの頃はただピアノが好きで、がむしゃらに弾いてばかりいましたから。
今となっては懐かしいです。大人になった時の苦労も何も知らずに、どんなことにも突っ走って生きていたんですよね」




そこでお母さんは少し、紺色が侵食し始めた空を見上げた。



オレンジ色と紺色。

その向こうに、甘酸っぱくてときには闇に飲み込まれそうになった思い出を見ているのかもしれない。