まだちゃんとその許可をお母さんの口から聞いていないことを思い出して、上目遣いでお母さんを見る。
あたしの気持ちを悟ったお母さんが、先に口を開いた。
「……佐奈がその制度を利用したいならそうしなさい。こんなありがたいチャンス、めったにないのだからね」
「えっ……。あたし、東條学園を受験してもいいの?」
「当たり前でしょう?さっき、夢に賛成するって言ったばかりじゃない。
夢を叶えたいなら、東條学園の受験に合格するべきよ」
「…そっか。分かった」
もう、あたしの前に立ちはだかるお母さんはいない。
あたしの気持ちを優先させてくれるお母さんが、ちゃんと目の前にいる。
これが現実なんだって分かったら、答えは自然と一つに決まった。
引き締めた表情の中に、喜びが溢れ出す。
「……そのお話、受けさせていただきます」
その言葉に二人は、満足したように頷いてくれた。
――やっと、夢を目指せる。
そう思うだけで、限りない勇気がみなぎってくる。
夢に向かう旅は、まだ始まったばかりだ。



