光を背負う、僕ら。―第2楽章―




「…本当よ。嘘つくはずがないでしょう?あんなにも成長した、佐奈のピアノを聞いたらね」




瞳も頬も涙に濡れたままお母さんを見る。



そう言ってくれたお母さんは“ピアニスト”の表情ではない。


娘の夢を心から応援してくれる、“母親”の表情だ。



…ずっと、あたしが見たかった表情だった。



温かいそれとさっきの言葉で胸が熱くなり、また涙が零れる。




「…ありがとうっ…。お母さん、ありがとう…!」


「もう、佐奈ったら…。
まだピアニストになれたわけでもないのに、今から泣いてたらどうするの?」


「うぅ…、ひっく…。だって……、嬉しくて…」


「泣くのは夢が叶ったときにしなさい。
…あと、これからは私があなたの練習に付き添うわ。
確かに以前よりは上手くなってるけど、まだ演奏が荒々しいもの。これからはちゃんと、レッスンしていかなくちゃね」




ハンカチを差し出して背中を撫でてくれるお母さんの声は、泣いてばかりいるあたしに少し呆れているみたいだった。



でも後半の言葉は力強く、まだまだ夢に辿り着くまで苦労しなければならないあたしを励ましてくれているみたいで。


あたしは何度も嗚咽の中で「ありがとう」と呟いていた。