――…♪~♪~♪♪♪~…
指先に神経を集中させて、ゆっくりと曲を弾き始めた。
高い音が、静かな部屋に響いていく。
お母さんと学園長の姿は見ない。余計なことを考えてしまわないためにも。
ただひたすらに、自分の中に溢れる想いを音に乗せた。
だけど曲の雰囲気を壊してしまわないように、あくまでも丁寧に演奏した。
――そして、その時間はあっという間に終わっていく。
……♪♪~♪♪♪~♪…――
演奏を終えて、やっと息を吐いた。
それによって張り詰めていた気持ちが緩んだらしく、身体にどっと疲れが溜まるのを感じた。
重力がいつもの2倍ぐらい身体に伸しかかっている気がする。
そう感じるのは、身体よりも心が重いからかもしれないけれど。
「……あたしのピアノ、どうだった?」
椅子から立ち、お母さんを見据えた。
正直、返事を聞くのは怖い…。
でも、最善は尽くした。
だからこそ、今はちゃんと返事を聞かなくちゃいけないと思った。



