光を背負う、僕ら。―第2楽章―




フゥ…と重い息を吐き出してから、お母さんの顔を見た。




「そ、それは、どういう意味?
どうしたら……賛成してくれるの?」




怯える気持ちを振り払ってそう尋ねた。

情けないほど声が震えている。



掴みかけたチャンスを逃さないように、藁(わら)にも縋(すが)る思いだった。



お母さんに「賛成」と言ってもらえるためには、何だってする覚悟もある。


…それぐらい、今のあたしは必死だった。



お母さんは落ち着いた雰囲気で口を開く。




「…私は、今の佐奈が弾くピアノを聞いたことがない。
だから……聞かせてくれる?
もし佐奈が本当にピアニストを目指したいのなら、それをピアノで証明してちょうだい。
そうしないと、賛成は出来ないわ」




お母さんの目は、“母親”のものとは少し違っていた。


……“ピアニスト”の、目をしていた。



それを見るのはとても久しぶりで、背中がゾクリと震える。



怖じ気づいて震えたんじゃない。


――武者震いだ。




「…分かった。あたしの気持ち、証明してみせるよ」




お母さんがあたしに突き出した試練の壁。


――望むところだ。


それで今まで突破出来なかった場所を進めるのなら、喜んで受け入れる。



そんな壁、絶対に突き破ってみせるんだから……!