……だからこそ、今言わなくちゃいけないと思った。
あたしの夢。
お母さんを説得してでも進みたい道。
ゴクリと唾を飲み込んで、涙を拭い終えたお母さんに向き合った。
「……お母さん、あたしの夢を聞いて?」
「……」
「――あたし、ピアニストになりたい。
たとえ苦しむやつらいことがあっても進みたいの。お母さんみたいに上手くはいかないこともあるかもしれない。
それでもあたし、きっと後悔しない。……ううん、後悔しないようにやってみせる。
あたし、今ここで夢を諦めてしまうほうがきっと後悔するの」
あたしの言葉を遮ることもせずに、お母さんは静かに聞いてくれていた。
学園長はあたしの言葉に頷いている。
しばらく部屋が沈黙に包まれたあと、お母さんが重い口を気まずそうに開いた。
「…でもあなた、その夢は諦めたんじゃなかったの?
放課後は学校にも残って勉強していたし…」
「……ごめんなさい。実は夢を諦めていないし、勉強をしていたのも嘘だったの。本当は学校のピアノを借りて、ずっと練習をしてた。…東條学園を受験するために」
「そんな…」
お母さんの目は驚きで見開かれていく。



