光を背負う、僕ら。―第2楽章―




……お母さんには前に、“ピアノは弾かない”という約束を無くしてもらった。



そうとは言え、東條学園でみんなの前で弾いたなんて言えばもっと驚かれると思っていた。



ましてや学園長と会ったなんていう大事なことを話していなかったのだから、怒られても仕方のないことだと覚悟もしていた。



それなのに…。


お母さんは怒ることも呆れることもしない。


むしろ優しすぎるぐらいの態度が心地悪かった。



戸惑うあたしを見て、学園長がフッと笑う。




「詩織さんは嬉しかったんだよ。自分が学生のときから好きだった“月の光”を、君が弾いてくれたことがね」


「あっ…」




その言葉に思い当たることはあった。



あたしが生まれる前にも、小さい頃にも、お母さんが弾いて聞かせてくれた“月の光”。



聞かされるうちにあたしはこの曲を好きになっていた。


それならいつも弾いていたお母さんが好きだというのも納得がいく。



お母さんを見ると、温かい視線とぶつかった。