光を背負う、僕ら。―第2楽章―




体験入学の日のことって…。



何よりも早く蘇った記憶は、みんなの前でピアノの演奏したこと。



その次に思い出したのは目の前にいる学園長にあたしの素性がバレて、色んなことを聞いたり話したりしたこと。



そういえばあの日の出来事についてはお母さんに詳しく話していなかったことを思い出し、顔色を窺うように恐る恐る視線を横に向ける。



意外なことにその先には、穏やかに笑うお母さんがいた。




「…佐奈、その日にピアノを弾いたんだってね。先生とも会って話したって聞いたけど、そうだったの?」


「う、うん…。内緒にしてて……ごめんなさい」


「……別にいいのよ。お母さんもあなたに聞かなかったのだから。
…それにしても、驚いたわ。学園長先生に会っていたことよりも……、あなたが“月の光”を弾いたって話にはもっと驚いた」


「えっ…」




怒ったような声が聞こえないことに驚いて、はっきりとお母さんの顔を確認する。



すると幻だと思えてしまうほど、優しく穏やかに笑っていた。



それは、まだあたしにピアノの楽しさを教えてくれていたお母さんの姿と同じだった。



その姿に喜びの気持ちが浮かぶものの、素直には喜べない。



どうして急に……、こんなに態度が変わるの?



てっきり、嫌味を言われるかと思っていたのに…。