「…やぁ、おかえり」
客間に行くと、学園長が柔らかく笑って出迎えてくれた。
テーブルに出されているコーヒーカップにはまだ少しだけ中身が残っているけれど、もう湯気は上がっていない。
いつから来ていたのだろう…。
もしかすると、長い間待たせてしまったのかもしれない。
ソファーに座る前に、彼に向かって一礼した。
「お待たせしてしまって、すみません」
「ははっ。そんな改まらなくても大丈夫だよ。リラックスして座りなさい」
「…はい」
促されて学園長の向かいのソファーに腰掛ける。
その隣にお母さんがあたしと同じ緊張した面持ちで座った。
……あたしが居ない間、二人は何を話していたんだろう。
今からされる話よりも、実はそっちの方が気になって仕方がない。
学園長はあたしとお母さんの顔を見比べてから口を開いた。
「…君の帰りを待っている間に、体験入学の日のことを詩織さんに話していたんだよ」
二人の視線があたしに向かう。
息が止まってしまったみたいに苦しい。



