誰かに告白されることなんて初めてだから、誰かに好かれる感覚がよく分からなかった。



告白するのだって初めて経験したばかりなのに、告白までされるという初めてづくしばかり…。



頭が混乱しすぎて、どうにかなりそうだった。




「…それで、佐奈は真藤君にどう返事するの?」




さっきまでの楽しんでいた空気をガラリと変えて、流歌がぐいっと顔を近付けてきた。



混乱しているところにさらに悩みの種を植え付けられて、言葉に困ってしまった。




「……分からない」


「分からないって…」


「真藤君のことは、嫌いじゃないよ。でも恋愛としてはどうかというと……分からない」




役目を果たさないシャープペンを、三人で囲む小さな折りたたみ式のテーブルに置く。



投げやりに放つとコロコロと転がる姿が、まるであたしの気持ちみたいだ。



どうしていいのかも分からずに、どっちつかずで決断を出せない。




「…じゃあ、付き合ってみたら?付き合ってみたら、意外と良いかもしれないし」


「そうだよ。恋愛の傷は新しい恋愛で癒せるかもよ?」


「自分の気持ちがはっきりしてないのに、それは出来ないよ…。告白してくれた真藤君にも悪いし」




二人の助言は嬉しかったけれど、それは首を振って断る。



あのときの真藤君の表情が浮かぶと、どうしてもそれに同意は出来なかった。