光を背負う、僕ら。―第2楽章―




「あの、伸一…」


「ん?」


「……キスして」




恥ずかしそうに頬を火照らし、潤んだ瞳が伸一を見据えた。



ロッカーの中は蒸し風呂みたいな蒸し暑さで満たされているはずなのに、あたしの体温はどんどん下がって冷えていく。



今見ているものがすべて、夢だったらいいのにと願った。



だけど伸一の声がしっかりと耳に届き、そう願うことさえ許されない。




「…な、何ふざけたこと言ってるんだよ」




戸惑い焦ったように伸一が反応しても、小春ちゃんの瞳は揺らがなかった。




「ふざけてない……本気だよ」


「そう言われてもな…。つか、何で急にそんなこと……」


「だって最近会うことも少なくて、全然してないから……」




小春ちゃんはしっかりと伸一の手は握っているものの、さすがに恥ずかしさに限界が来たのか徐々に下を向いていく。




「一緒に帰ることも出来なくて、あたしずっと……寂しかったんだよ?」




次に顔を上げたとき、伸一の姿を映す瞳は微かに涙で濡れていた。



悲しげな表情に、伸一だけでなくあたしまで胸が締め付けられそうだった。