あたしは伸一を好きになっちゃいけなかったのかな…。
何が正しくて、何が間違ってる。
何が良くて、何が悪い。
そう考えるともう、何が本当の答えなのか分からなくなってしまう。
伸一を好きでいることさえ、罪であるような気がした。
「…おまえが心配するようなことはねぇよ」
伸一が小春ちゃんの頭を優しく撫でると、小春ちゃんはとびきりの笑顔で笑った。
その笑顔は伸一の笑顔にも似ていて、もう自分の想いはただのちっぽけな存在にしか感じられない。
そんなこと初めから知っていたはずなのに……。
この二人には敵わないことが悔しく思えることが嫌だった。
目の前では仲睦まじい二人の会話が繰り広げられる。
「さぁ、帰るぞ。今日は一緒に帰れるんだろ?」
「うん。……あっ、でも、ちょっと待って」
さっさと部屋を出ようとする伸一の手を小春ちゃんが掴んで止める。
伸一が驚いたように振り返ると、小春ちゃんは頬を少し赤らめて口を開いた。
そこから飛び出るのは……あたしにとって残酷な言葉。



