「…黙って俺のあと追ってきたのかよ」
「…そうだよ?だって伸一、一人でこそこそと移動するからなんだか気になっちゃって。
声も掛けづらかったしついてきちゃった」
悪びれる様子がない小春ちゃんに、伸一の表情がより一層しかむのが見えた。
困ったようにため息もついていて、その理由が分かっていたから申し訳ない気持ちになる。
……やっぱり伸一は、約束を守ってくれていたんだ。
この部屋で過ごす放課後の時間。
そのことを秘密にする約束を伸一が守ってくれていることは、さっきの会話から十分読み取れた。
小春ちゃんも何も知らない素振りをしていることにホッとするものの、あたしは今すぐにでも伸一に謝りたくなった。
……あたしは真藤君にすべてを話してしまっている。
その事実の裏にちゃんと理由があったとしても、約束を破ったことには変わりない。
まともに顔を合わせることが出来ない状況では、ただ心の中でごめんねとしか伝えることが出来なかった。
だけど目の前に迫る現状は、そんなことを悠長に考えている場合ではない。



