「どこかに行ってるのか…」
安堵しているのか、呆れているのか。
どちらなのか分からないため息をつきながら、伸一は近くにあった机に腰掛けた。
いつも座っていた場所にあえて座らないことに、現実を知らされる。
…そうか。
やっぱり昨日までとは違うんだよね。
たまたまかもしれないけれど行動に微かな変化があったということは、伸一は理解しているのかもしれない。
昨日までと同じように、この部屋には居られないことを。
「……」
「……」
「……」
あたしと真藤君はもちろんのこと伸一も何も言わなくなってしまった空間には、緊張の静けさが広がっていた。
……今は出来れば早く、伸一に部屋から出ていってほしい。
そうでもしないとロッカーから出たくても出られない。
それにやっぱり……今は伸一と顔を合わせる勇気がない。
強くならなきゃって思うのに、そういう面ではなかなか踏み出せなかった。



