「し、真藤君?」
「…なんだよ」
ドアの隙間から微かに入り込む光が頼りの、ほぼ真っ暗闇の状況。
そんな中では真藤君の表情を確認するどころか、体が密着しているせいで顔すら見ることが困難だった。
「……あの、どうして真藤君まで隠れなきゃいけないの?」
「…おまえ馬鹿だな。俺一人でこの部屋にいるなんて、伸一に何て説明するんだよ。それこそまたややこしいことになるだけだ」
「でも、ちょっと…。この状況で隠れてるのつらいんだけど」
足音の人物がいつ部屋に到着するか分からない状況では、あくまでも話す声は小声だった。
ボソボソと喋る度に真藤君の吐息が前髪にかかってくすぐったい。
密着しているせいで聞こえる二人分の鼓動が、余計にあたしを緊張させた。
「我慢しろ。俺だってこんな暑苦しい場所、さっさと出たいんだからな」
そう言うと、狭い空間でありながら少しだけ二人の間に隙間を作ってくれた。
どうやらあたしが、暑がって苦しんでると思ったらしい。



