溢れる想いが体中を回った気がして、顔を隠した手の隙間から涙が流れた。
すかさず拭うけれど、また一粒、一粒と静かにゆっくりと流れていく。
「…麻木」
「…っ、来ないで」
気配だけでも真藤君が近寄ってくるのが分かって、それを手で制した。
手を伸ばせば胸板に手が届き、真藤君の動きが止まる。
「あさ…」
「いい。今日は頼らない」
きっと真藤君の目の前で泣けば、また昨日みたいに慰めてくれる気がした。
でも今日は、あえてそれを拒んだ。
誰かに頼ればきっと楽だろうけれど、それではただ自分が潰れていくだけ。
今のあたしに出来るのは、挫けずに前を向くこと。
だからそうやって弱い自分が強くなることしか、消せない想いを抱えていける方法が思いつかなかった。
制服の裾が汚れることも承知でゴシゴシと乱暴に涙を拭い、目元を真っ赤にした状態で足止めした真藤君を見る。
「…あたしは、大丈夫だよ」
自分にも言い聞かせるように笑ってみせると、真藤君は呆れたように笑った。



