だけどこの状況ではいたたまれなくて、真藤君からまず目線だけを逸らす。
「しっ、真藤君には関係ないでしょう?」
そして動揺していることを悟られないように、自然を装ってゆっくりと顔を背けた。
……どうしてあたし、動揺してるの。
たった少し、男の子に触れられただけなのに…。
普段から男の子と接触する機会がないこともあって、鼓動が今までにない速さで波打っていた。
「……まぁ、泣いてないならそれでいいけど」
あたしの言葉を勝手に肯定と受け止めたらしく、真藤君は行き場を失った腕を何事もなかったように下ろした。
そのときの真藤君はホッとした表情をしていて、それはあたしの中で小さな疑問に変わる。
「……どうして真藤君が、泣いてないか気にするの?」
「…ん?」
あたしから離れて定位置に戻った真藤君は小首を傾げる。
そして一瞬だけ俯いた後、お決まりのように不敵な笑みをあたしに向けた。
「……さぁ?何でだろうな」
「―――……」
……どうしてだろう。
この瞬間、少しだけだけど。
すっかり分からなくなってしまっていた真藤君の心に、近付けた気がした。



