光を背負う、僕ら。―第2楽章―




あたしは泣きそうになっている自分にムチを打って、最後の意地で笑顔を作った。




「は、早く小春ちゃんのもとに行ってあげて!待ってるんでしょう…?」


「あぁ、うん…」


「佐藤君、あたしのことはもういいよ。ノートも届けてもらったことだしね。……ありがとう!」




途中、なかなか伸一の顔を見ることが出来なかったけれど、『ありがとう』と言うときだけはなんとか伸一と向かい合うことが出来た。



この『ありがとう』の本当の意味を、伸一は分かってくれたかな……?



窺うように笑顔で伸一の表情を見ると、あたしと同じように笑い返してくれた。




「……どういたしまして!
じゃあ俺……先に行くわ」




だけど伸一が笑顔を見せてくれたのはほんの一瞬で、すぐに背中を向けられてしまう。




――それが、あたしたちの時間の終わりを静かに告げていた。





「じゃあ、二人ともまた明日!」




伸一は一度だけあたしと真藤君の姿を見ると、すぐに扉に向かって歩いて行ってしまった。



その背中を見つめることしか出来ないあたしは、ただ涙を堪える。



そして伸一は部屋を出てから扉の閉まると、足音を立てて走っていった。



その音が廊下で反響してあたしの耳にまで届くことが、ただ虚しく感じられた。