「…ふーん。そっか」
しばしの沈黙を破った真藤君の声は、意外なことにとてもあっけらかんとしていた。
理由を聞いてきたのは真藤君だというのに、もうすっかり興味をなくしている感じ。
そんな彼の不思議な態度に違和感を持って顔を上げると、いつからそうだったのかは分からないけれど、真藤君はあたしを見下ろしていた。
バチっと火花が散るように視線がぶつかる。
……その瞬間、不敵な笑みを見てしまった気がした。
だけどすぐに顔を背けられてしまい、その確認は許されない。
……な、何だろう。
違和感といい、さっきの謎の笑みといい。
やけに心にしこりが残る感覚がして、なんだか胸がモヤモヤしてざわつく。
もしかすると、真藤君……。
その瞬間、この前の図書室での真藤君との会話を思い出して、すっかり忘れてしまっていた彼の言葉が頭の中を横切っていった。
『俺の趣味は、人間観察。
だから人の表情とか態度に現れる感情が分かるんだよ』
そして違和感も不敵な笑みの意味も、すべてが一直線に繋がった。
まずい……。
真藤君、絶対に勘づいてる。
さっきのあたしの言葉の正体が、嘘だっていうことに。
そして、きっと見破った。
……あたしの、伸一への気持ちを。



