光を背負う、僕ら。―第2楽章―




それにあたしが『優しい』なんて勘違いだよ。



歌を歌うときに泣きながら幸せを願っているあたしなんかが、本当に優しいわけないじゃない。



本当はずるいの。

弱くて卑怯な最低の人間なの。



伸一と二人で過ごす時間に執着して、幸せを願うフリをしながら、ただ自分のためにこの時間を楽しんでる。



あたしは、優しくない…。




あたしが拳を握りしめて微かに震えているなんて知らない伸一は、さらに酷な言葉を付け加えていく。




「麻木は優しいからさ。
きっと、麻木の好きな人は幸せだな!
こんな風に想ってもらえるんだからな」


「……!」




伸一の言葉が胸に突き刺さって顔を上げたら。


……目の前の眩しかった笑顔が、一気に黒い絵の具で塗りつぶされたような気がした。



同時に、もう何に対してなのかも分からない涙が込み上げてくる。




……言わないで。


“麻木の好きな人は幸せ”だなんて、そんなこと言わないでよ。



本当に、伸一はそんな風に思ってるの?



じゃあ、教えてよ……。



伸一はあたしが“好きです”って気持ちを伝えたら、“幸せ”って思ってくれるの?



伸一、教えてよ…。




ずっと入れてはいけないと、動かしてはいけないと心に決めていたのに。



心のスイッチが、切り替わる――。