光を背負う、僕ら。―第2楽章―




曲がクライマックスに近付くにつれて、想いがどんどんあたしの中で重なりあって大きくなる。




……伸一。


君はこの曲を聞いて、どう思いましたか?



“伸一が好き”っていう気持ちが込められているなんて知らない君にとって、この曲はなんてことのない片思いの曲の一つにすぎないかもしれない。



……でもね、あたしにとってこの曲は何よりも特別なの。



伸一が好きです。


小春ちゃんよりも好きの想いが大きいって言えるほど、ずっとあなただけを見てきたの。



……だけど、あなたの心に入ることが許されたのは小春ちゃん。



たとえ過去に何人かの女の子があなたの心に入り込めていても、あたしにはその権利を得ることが出来なかった。



そしてこれからもきっと、それは得られない気がする……。




……だからね。

決めたんだよ。



あたしの気持ちは伝えないって。



君の笑顔を見るために、君の幸せを願える女の子になりたい。



ずっと、そう。

頭では言い聞かせていたのに――。





「……っ」




目の前の黒と白が滲んで混ざりあって見えるのは、どうしてなの……?