光を背負う、僕ら。―第2楽章―




ピアノに向き合い、深呼吸をして気持ちを落ち着かせる。



今から弾く曲は伸一に言ったとおりで作ったばかり。



まだ詩もメロディーも生まれたてで未熟だけど、そこに込めた想いはいつもと変わっていない。



伸一を想う気持ちが、ずっと変わらないのと一緒だから。




「……」




あたしは一度だけ伸一を見て微笑んだあと、指先に想いを込めた。




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僕の恋はいつから始まっていたのだろう


“君の笑顔を見た瞬間”


“君と言葉を交わした瞬間”


“君と出会った瞬間”


全部違っていた


最初から決まっていたんだ


僕が君に恋をすること


そう


“生まれた瞬間”からずっと




君への想いを閉じ込めたのはいつからだろう


“君があの人の恋人になった瞬間”


“君と関わりがなくなった瞬間”


“君の背中を追いかけていた瞬間”


本当は違っていた


僕の想いが変わったんだよ


だから気持ちを閉じ込めた


そう


“君の幸せ”を願うために




君は今 幸せですか


その笑顔は 本物ですか


君が心から笑って


誰よりも幸せだと言ってくれるのならば


僕はもう 何もいらないよ


いつしか“君の幸せ”が


“僕の幸せ”の意味になる



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