「いつも応援ありがと。
麻木もきっと、合格するよ。
これからも、夢を叶えられるように一緒に頑張ろうな!」




顔の高さぐらいに差し出された握り拳。



それに自分の握り拳をコツンとぶつけたら、またどうしてか悲しくて。



泣きそうになるのを押し込んで、無理矢理笑ってみせた。




……変なの。


この時間にいつか終わりがきて、伸一とは別の学校で過ごす日が来ると思うと、どうしようもなく伸一への気持ちが募っていく。



今はまだこうやって少しでも話をする機会があって、遠くからでも見つめていられるだけで幸せだけど。


……それも、出来ない日が来るなんて。



あたしは本当に、それでいいの?


自分の気持ちを伝えることもなく離れ離れになって……。


あとであたしは、後悔しないの?




「――……」




そこまで考えてふと、我に返った。



……って、あたしったら何を考えてるんだろう。



きっと図書室で人の告白なんか見ちゃったから、告白することに対して敏感になってるんだ。



あたしは気持ちを伝えることはしないって、告白はしないって。



そう固く、決心したはずなのに……。