家を出ると、真向かいに〝森永〟と書かれた表札。 森永さんの家の扉が開いた。 中から出てきたのは幼なじみの森永亜清(もりながあせい)。 「………」 亜清が私を見ている。 私も亜清を見ている。 だけどお互い無言。 なのに目が離せない。 亜清と喋りたい。 だけど今更なんて喋りかけたら良いのか分からない。 視線が重なっていたのも束の間。 亜清は私から目を逸らして、スタスタと歩いて行ってしまった。