「こっちこっち」
 先生につれられて校舎から外へでて、噴水のある中庭を通り、少し外れたところに二階建ての建物がある。それが図書室だ。
 図書室の入り口まで来て中に入ろうとしたが、先生は建物の後ろに回り込もうとしていた。
「あれ?入らないんですか?」
「うん。そっちじゃないのよ」
 そういって建物の裏へ回ると一つ扉があり、扉には【閉貨書庫】という紙が張ってあった。つまり、古くなった本の置き場である。
「ここよ。あの子本が好きだからいつもここにいるわ。いろいろ理由が他にもあるけど」
「そうなんですかー確か名前は・・神田 守でしたよね?」
「まもるじゃなくてまもりよ?女の子なんだから」
「えぇ!みんな男だって言ってたじゃないですか!」
「そんな迷信信じちゃだめですよ!お人形さんみたいに可愛いんだから」
 迷信ていうか噂だけど。しかしお人形のように可愛いか。どんな子なんだろ。と考えていたら、先生は何か思い出したように、右手で拳を作り、ぽんと左手においた。
「あ、そうだ先生そろそろ会議があるんだった。勝手に入ってもいいと思うから、会ってみるといいよー。じゃぁね!」
 と先生は本校舎の方に走り去ってしまった。
「えー・・・。なんて無責任な。」
 このまま帰ってもよかったが、折角来たのだから会ってみようかな。