「おいおい。無視かよ。昨日は答えたくせに。」



外から聞こえる声はネイザンの耳にしっかりと届いている。

その証拠(ショウコ)に


"お坊ちゃんは気まぐれだなぁ♪"

と笑う男の声にペンがぴたりと止まった。



ちょっとしたジョークさえ年頃のネイザンには侮辱(ブジョク)されたように感じたようだ。

顔を真っ赤に染め、鉄格子を睨みつける。


男はそんなネイザンの様子を知るはずもなく陽気(ヨウキ)にしゃべりかけた。