池上は答えず ――― だけど、それを待つヒマもなく すぐに アズが動いた "たん" と窓際に立ち、カーテンを掻き分け みるみる見開く明るい瞳で ベランダから身を乗り出す そして体は俺達の方 ――― 玄関がある方に向いて ―――― 何か聞こえたのか またベランダに戻ったアズは 階下を向き、シュンとした表情で 部屋の中へと移動し、座り込んだ だけど、ウズウズした碧い瞳は ずっと真っすぐ、玄関の方 "カシャン"と音がし ドアが開くと 「 ―― リュウジおかえり!! 」 「 ただいま 」