砂場のロケット 〜キミと見る群青〜





ドアの枠とビルの狭間に
霞みがかった、水色と紫の空


スズメの鳴く声がする ――――



真木は、延ばした手を
扉に大きく添えるだけ




片方の手は、ポケットの中だ




アドリアナは振り返らず
真木にも、声を掛けない




最初はゆっくりと
だけど、次第に早く


足早に階段を駆け降りる
ヒールの音だけが響いた




「 まず岡田くん

こちらの問題で
迷惑を掛けてすまなかった 

――― そして、 タカオ 」




アズのお父さんは、
サングラスを外しながら
深く深く、頭を下げる




「 ――― あ… いえ!

俺が勝手に途中から
連れ出してしまっ…――― 」




サングラスを外したエリックの顔を見て
しばらく、ア然とする




「 ―――… 岡田くん? 」




声をかけられ、我に帰った


「 あ!
――― いや、え その…

… エリック・スラストファーの素、
素顔見るの、初めてだなあとか思っ… 」


「 …極端に光に弱いのでね
普段は色眼鏡越しで
失礼させて貰っています 」