アズは、瞳を見開く



「 そ…なの?
だとしたら
トオヤは本気で…言ったよ…? 」


「 冗談で言ったのか
本気で言ったのか
ユカちゃんはそれを判ってない

―― それ位にまだ
灰谷の事を、知らないとも言える 」




突然

黙っていた真木が
口の端を上げて、少し笑った




アズが、ふ と
煙草をくわえた、その横顔を見つめる




「 ――― 知りたくねえんだよ

男の汚い部分をまだ


だから青山っていう
天然フィルターをかけてしか
灰谷を見たくねえんだ 」


「 フィルター…? 」


「 … 感覚でわかってんだよ

青山は絶対に、
自分に手を出して来ないって 」

「 ――… それは、わからないよ 」


そう言ったアズに
ギョッとした顔で、青山は目を向けて
慌てて弁解を始める




「 …お 俺は 」


ジッと怪訝な目を返すアズ

それを見て
沈黙を守っていた梅川さんまで
やっぱり吹き出してしまった




「 まあ
あずるちゃんという
前例があるからね〜 」


「 ―――― 梅川さんまで… 」



狼狽する青山
そしてアズ以外は、全員笑う


いつの間にか横に、池上も到着していた