伸はあたしたちを見て、ウィンクしてからなにごともなかったかのように車で帰ってった。



あたしたちは、ぽかーんと口を開けて動けない。




後ろから、父とお父さまが駆けつけてくる。



父はほんとうに心配そうにあたしたちに駆け寄った。




ちらりとお父さまを見るとにっこりとしたすぐにでも笑ってしまいそうな顔。





つまり…


あたしたちが死ぬかと思ったほどびっくりしたのは。




びっくりさせたのは、偶然でもなんでもなくて。




久穏親子の、どっきり、みたいな…?





お父さまが、極めつけの一言。







「ほら、梓くんに任せてよかったでしょう?」




父はうなずくしかなかったみたい。