「あるって言ったら??」


「何だとテメェ!!邪魔すんじゃねぇよ」


男はあたしに近付けていた拳を下げて、今度はイケメンに掴み掛かった。


「えっどうしよっ」


訳も分からずパニックになってるあたしに、優しい声が響いた。


「大丈夫だよ。アイツああ見えて強いから」


誰、この人。


ってか、さっきのイケメンと同じ顔してるんですけど!?


「…??」


さっきよりも頭がごちゃごちゃになって、もう出る言葉も無い。


「まだ、やる気??」


「くそっ、覚えてやがれよ」


「…ほらね??」


気付くともう男は居なくなっていて、居たのは同じ顔のイケメンだけだった。


「助けてくれてありがとうございます。あなた達って一体…」


「俺達は通りすがりの双子だよ」


双子!?


だから顔が似てるんだ。


「そっか、何はともあれ助かりました。じゃあ…あたしはこれで」


「ちょっと待ったぁ」


イケメンのどっちかがあたしの手を掴んだ。


「な、何ですか!?離してよ!!」


「命の恩人だろ??他にお礼ってもんがあるだろ!!」


「…は??思い付かないんだけど。ってか離してくれる??」


「ちょっと待て、お前俺達が居たから生きてんだよ??」


「んな、大げさな。」


「だから、俺達を家に泊めてくれ!!」


はあぁー!?


「あんた言ってる事、めちゃくちゃ」


「頼むっ!!行くとこ無いんだ俺ら」


イケメンが頭を下げる。


「ちょっ止めてよ!!恥ずかしいから」


「じゃあ…泊めてくれる??」


「あーっもうっ、分かったから」


「よっしゃー!!」


喜ぶイケメン双子。


それを見て落ち込むあたし。


何でこんな事言っちゃったんだろ。


この双子との出逢いがあたしの生活を360度変えるとは、今のあたしには思いもしなかった。