「お姫さんってさ、人の表情とか、雰囲気とか、そういう非コミュニケーションってやつに敏感なのかもね」
「え?」
大丈夫だよって2匹に声をかけた後、私の方に再び視線を戻してきた。
「副会長の笑顔にも騙されなかったし。あたしにも騙されなかった」
確かに、大山副会長の吐き気する笑顔に苦言を申し立てたが・・・
「なんで知ってるの?」
なぜそんなことを彼女が知っているのだ?
「自分のご主人になる人のことはしっかりと把握しておかないとね」
怖い。この人。いろんな意味で。
「理事長。あたし馬鹿なやつに就くのは嫌だったけど、お姫さんならいいよ。メイドしてあげる」
彼女はしっかりと立ち上がり姿勢を正すと近江の方に向き合い発言した。
「そうか、引き受けてくれて安心したよ。君ほどの優秀な人材はなかなかいないからね」
「それじゃ、お姫さんこれからよろしくね。話はもう終わったんでしょ?そろそろ寮の方に行くよ」
私の方に向いてあの悪寒のする笑顔を向けた後、近江に告げ私の荷物を持ち出す。そして私の後ろに回りソラのロックを外そうとした。
そんな彼女を制す。
「大丈夫です。自分で出来ますので。それじゃ、理事長、これで失礼します」
「・・・・・・」
「・・・?はぁ、おじいちゃん」
「あぁ、いつでも来なさい。毎日来てもいいんだよ。むしろ毎日来なさい」
・・・めんどくさ!!!
なにかほざいている近江を無視し2匹が入っている籠を膝に乗せ動き出す私に、近江と竹中が手を振るのを背に理事長室を後にした。

