竹中が私の横に立ち、私の手を握ってきた

「私の恋人になってはくれませんか?お姫様」

全く意味が分かりません。
冷めた目で見ることしかできない。

「竹中?死にたいのかい?」

妖艶な流し目で私を見つめる竹中に対して近江が絶対零度のまなざしを向けている。

「…竹中さん、まず私の盗撮写真とやらを片付けてください。話はそれからですよ(ニコ」

私は忘れてなんかいない。あの不吉な話を。

「わかりました。お任せください。」

片膝をつき恭しく首を垂れる竹中さん。

「お、おい。それだけは勘弁してくれ。私のオアシスなんだ‼‼‼」

「おじいちゃん?(ニコ」

「おじい…!!竹中、今すぐ家ごと焼き払うのだ。」

え…?

「かしこまりました」
「かしこまるな‼‼‼」

本気で家ごと焼き払おうとする馬鹿な二人を説得しなんとか思いとどまらせた…。
なんで私がこんなに必死にならないといけないの?
しかもなんでか、これからもお爺ちゃんと呼べと約束させられた。

「それからな、麗羅、これからの生活についてなんだが、」

「何?近江さん?」

「……」

返事を返す私に対しなぜか無言の理事長。

「?なに?」

「……」

「なに?……お爺ちゃん、」

「これからのことなんだがな、」

にこにこと嬉しそうに言葉を続け出した近江。

めんどくさ‼‼‼

お爺ちゃんと呼ばなかったことに対しての無言の訴えだったらしい。呆れてものも言えない。

「この学園はバリアフリーを完備している。しかしな、不便なことが必ずあるはずだ。」

「どうしたって、健常者を対象とした造りになっているので、」

そらそうだ。いくらバリアフリーを掲げていても、もともとそのような施設ではないのだ。そのほとんどの造りが健常者を対象としたものだろう。