声の言うとおり、右手に建物が見受けられたが
それは普通の一軒家のような建物で、これが警備室かと聞かれたら首を傾げる所だが
他にそれらしい建物があるわけでもなく…
半信半疑のままそこへ向かった



近づくにつれ受付のような窓口があるのが伺えた
そこには人がいるようで、ゆっくりとした動きだったのを少し速め


”こんにちは”と声をかけてみた


「お待ちしておりました、愛染様
只今案内人が参りますので、こちらでお待ちください」




さっきまで機械越しに聞こえた声が目の前の男性から発され
あのカメラはやはり警備室に繋がっていたのだと理解できた




それにしても丁寧過ぎではないだろうか、
いくら金持ちの通う学校だからとはいえ
自分より1周り程歳の差がある子どもにだ…



正直私は気分が悪い…

でも、それは私が口出ししていいことではないのだから仕方がないが…






私の足元でフーとムーが飛び跳ねて遊んでいるのをにやけ顔で観察していると遠くの方から車のエンジン音がする

と、思ったら結構近かったようでその音は姿を持って現れた

真っ黒に輝く車…

もしかして、



「ベンツってやつ…?」



車に詳しくない、それどころか全く分からないといっても過言ではない私でも知っている高級車が目の前に現れたのだ