和馬になんか泣いてる姿、見られたくない。 私は下を向いて歯をくいしばる。 それでも涙は止まらない。 赤信号で停車した時、和馬は後部座席からタオルを取って私の顔に押し付けてきた。 私は黙ったままそれを受け取り、タオルで顔を隠した。 しばらく車を走らせて、着いた先は夜の海。 車から降りずに私達は海を眺めていた。 「…光、今日のは俺が悪かった。ごめん。」 前を向いたまま、和馬が私に謝ってきた。 「いきなり、あの2人に会わせるのは強引過ぎたよな。」 私は何も答えなかった。