きゅーぴっど




まだ夏の真っ只中で、6時前でも辺りは明るく
座ったベンチも生ぬるかった。



「あの…さっきは本当にありがとうございました」


そう言って彼女はペコリとお辞儀をする

そんな彼女に俺は声も可愛いなぁ、と思いながらも
「いやいや、大したことじゃないよ」と少しはにかんで言った。


「いえ、危ない所を助けてもらって本当に感謝しています」


……でも、何で本棚が倒れてるのに気づかなかったんでしょうか…、
と呟く彼女の手はまだ少し震えていた。


それに気づいた俺はそっと彼女の頭に手を置き、
なにも言わず優しく撫でる。


こんな状況、前にもよくあったのに

相手が彼女というだけで、緊張でなんて言えばいいのか分からなくなる。