「な、何…?」
「…………いや…なんでもねぇ。
晩飯、何か肉が食いたい」
「わ、わかった……」
―――あたし、本当はこのとき、
心のどこがでちゃんと、
わかってたんだ。
京が言いたかったのは、
そんなことじゃない。
……ってことも。
………京が、持っていた…
“何か”を後ろに隠したことも。
わかっていたんだけど…。
今のあたしに、
そんなことを気にしている
余裕なんて、
全然なかった――…。
―――あたし、
京を傷つけちゃったよ―…。
きっと京、誤解してる―…。
「ごめんね…………京……」
――その呟きは、
誰の耳にも届くことなく、
寒い冬の風の音に消された―…。

