「木村?もしかして、七菜のだん
なさ…「俺ら急いでいるので、失
礼しますね?七菜。行こうか」」
「え、あ…うん……」
「杏樹ちゃん。よかったら今度、
家に遊びに来てね」
たぶん建て前でお兄ちゃんは
杏樹に言ってから、あたしの腕を
半ば強引に引っ張りながら、
あたしたちはエレベーターに
向かった。
「「…………」」
エレベーターにのってからも、
あたしも、お兄ちゃんも、
何も話さない。
気まずい沈黙だけが流れる。
「…………お兄ちゃん…」
あ、お兄ちゃんって
言っちゃった…。
「………ん?」
「杏樹は、高校に入ってからの親
友でクラスメートなんだ。でね、
隣にいたのは……杏樹の旦那さん
で、二階堂 風真っていう、学校
の王子様の1人」
「…………そう」
お兄ちゃんは、
それから何も言わなかった。
あたしも、
それ以上は何も言わなかった。

