「ウソ…でしょ??? 京さんが…う
わ………って!!ないないないない
ッ!!会社の人でしょ?まだ仕事中
か〜。京さんって忙しい人なんだ
ね!!……ねっ?七菜っ!!」
“浮気”
杏樹は今、確かにそう、
言おうとしていた。
「…………………」
仕事中…じゃないと思う。
あの服は…
仕事に着ていくやつじゃない。
“特別”なときに着る服。
…………だとあたしは、
思っていた。
…………違う。
きっと間違ってなんかない。
あの人が、“特別”だから
着てるんだ。
そうに違いない。
そうとしか思えない―…。
―――だって現に今、
京の背広は、彼女の肩に
かかっているから―…。

