あたし、伊藤葵<イトウアオイ>。
あたしには、幼馴染みがいる。
いや、正確には“いた”が正しいのかな…?
あたしの幼馴染みは、中学生のトキに親の都合でアメリカに行ったのだ。

―――………
「元気でね」
「また戻ってくるから」
ママたちが喋っている間、あたしたちも喋っていた。
「お前、俺がいなくなると寂しい?」
「そりゃ、寂しいよ?」
だって、あなたが好きだから。
けど、言っても無意味。
だって、あなたは遠くへ行くんだもん。
「そろそろ行くわよ~」
「おう!」
「…バイバイ」
「じゃぁな、葵!」
そう言うと幼馴染みは…あたしの唇を奪った。
「!!??」
ニヤッと笑い、この地をあとにした――……。

―――………

どうして、キスしたのか分らない。
けど、1つ確かなこと。
アイツは、いつもあたしの心をかき乱してばかり。

会いたいけど、どんな顔して会えばいいの?
好きって、感情が…まだ残っている。
けど…だんだん、薄れてきてるんだ――……。

「はぁ……」