【完】短編集~幼馴染み~

あたしはゆっくりと、教室のドアを開けた。
席には、由貴がいて、こっちを見ている。
「由貴、お昼…まだ食べてなかったの?」
「莉紗のこと、待ってた」
「そうなんだ。ごめんね?お弁当、食べよ?」
あたしはお弁当を食べようとしたが、喉を通らない。
「あたし、食欲ないや…」
「なんか、あった?」
あのことを、言いそうになった。
“怖かったよ”
その言葉を、飲み込んだ。
「なんで?なにもないよぉ!」
笑ってみせた。
もちろん…作り笑いだ。
「っ、」
この時、正直に言ってたら、君は傷つきませんでしたか?
「…そっか」
そう、悲しそうな顔で言った由貴に…
あたしは、
気付かなかったんだ。

そして、次の日からだった―――。
由貴が、冷たくなったのは。
“大嫌い”
その言葉を、言うようになったのは。

これが、由貴に避けらる前の、出来事だった。