――「壱くん、あの…ちょっと、」
『ん?』
壱くん家のキッチンにて。
苦手なタマネギのみじん切りを終えた私は今、ハンバーグのタネづくりで具材をこねているわけだけど…
痛い。
隣にいる壱くんの視線が…刺さるように痛いのです。
「て、テレビ見てたらどうかな。暇でしょ?」
『ううん、そんなことないけど。』
「そっ、そっか。」
『うん、いぶはそのまま続けて。』
つ、続けてと言われても…。
どうにかこうにかここから壱くんを遠ざけたかった私だったけど、そんなことを知ってか知らずか、壱くんはいつものようにサッと交わしてくる。
そんなに食い入るように見つめないでほしいんだけどな…。
いたたまれない空気を一身に感じながら、私はハンバーグの形づくりに取り掛かった。
『何してんの?』
「へっ?」
丸型にしていると、ずっと黙ってみていた壱くんが声を上げた。
『こうじゃなくて、ハートにしなきゃ。』
「…え、え?」
すると、今まで私のハンバーグづくりにはノータッチだった壱くんが流しで手を洗ったと思うと、ハンバーグのタネを取ってハート型に整えだす。
『ほら。』
「ほ、本気だったんだね、壱くん…。」
『?俺はいつも本気だけど?』
はい、ごめんなさい。
お弁当を作ってと言われた時もそうだったことを思い出し、壱くんの本気を舐めていたことを素直に反省した私は、壱くんから言われた通り、ハート型のハンバーグを作り出したのだった。

