――『え、イブってば打ち上げ、来ないの!?』


クラスマッチ終わりの教室で。

隣の席の桃香ちゃんが驚くように私を凝視する。


「ぅ、うん、ごめんね。」

『あ、わかった!これから神崎とデートなんでしょ~!』

「っ!?も、桃香ちゃん、なぜそれをっ…!?///」


誰にも言っていないことをズバリ言い当てられ、今度は私がびっくり仰天。

桃香ちゃんってエスパーなの?


『このバカップル…。イブはわかりやすいの。だから私はエスパーじゃありません。』

「!?」


いや、今も心の声呼んでるところからすると、やっぱり桃香ちゃんはエスパー…、


『でも残念。うちのクラス、優勝まであと一歩だったのにね。』

「そ、そだね…。」


自分の机に膝つきながら、不満そうにそう言う桃香ちゃんとは対象に、そこまで残念な感じがしない私。

なぜなら、優勝はもちろん、壱くんのクラスだから。

まぁ、体育教師を担任に持つこのクラスが負けたのが悔しい気持ちもわかるけれども。

でも、壱くんと野獣さんがいるあのクラスには勝てないと思っていたし、運動音痴の私がいる中で学年2位という素晴らしい実績は私としては十分な栄光だった。


『イブも来ないなら、きっと美鈴も来ないわね。』

「え?…そういえば、美鈴ちゃんは?」


教室を見渡してみるけれど、どこにも美鈴ちゃんはいなかった。

すでに美鈴ちゃんの机は空っぽだし。


『帰ったね。行動早いわ、あの子。』


いいなー、私も彼氏ほしいー!と嘆く桃香ちゃんを横に、私は帰る準備を始めた。