「菜乃?はい、チケット」

「あ、ありがと……陸くん」

「どういたしまして」


首を傾け、ニッコリと笑う陸くん。

やばい、そこらのアイドルより断然かっこいい……。

はっ、ダメダメ。

こんなんじゃ天国のお父さんにも、頑張ってはたらいてくれてるお母さんにも失礼だよっ。

私はほっぺをぱちぱち叩いて、気合いを入れた。


「さ、どこ行く?」

「僕はどこでもいいよ」

「怜斗くんは?」



私と陸くんが横に並んで歩き、怜斗くんは後ろにいたので、私は振り返って聞いた。

怜斗くんはパンフレットのあるページをずっと見ていて、私が振り返るとパッと顔を上げた。


「オレも、別にどこでもいい」

無表情を装ってるけど、目が泳いでる。