「ハッピーバースデートゥーユー、ハッピーバースデートゥーユー」



ロウソクの火の光だけの部屋に響くバースデーソング。

そして甘い甘いケーキ。


「ハッピーバースデーディア菜乃ー、ハッピーバースデートゥーユー!」


拍手と共に、幼稚園生くらいの小さな女の子がロウソクの火を吹き消す。

女の子はとても幸せそうだった。



「さぁケーキを食べましょう」

お母さんが言いながら灯をつける。

しかし、お父さんがそれを遮った。


「ケーキはちょっと待って」


女の子が不思議そうな顔をする。

お父さんは咳払いをして恭しく言った。



「なんと、お父さんから菜乃にプレゼントがありまーす」

「えぇっ、ほんとう?やった!」

お父さんが綺麗な包を持ってくる。


そして、この中にいるのが僕。

「さぁ、開けてごらん」

女の子がビリビリと包装紙を破り、蓋を開けると……。

「わぁ、くまさんが2人も!」



僕と弟は、くまのぬいぐるみ。