「せ…いじ…」 ”かな”と呼ばれる女の人は、「ほんとにいた…」と嬉しそうに涙をこぼした。 「…帰れ」 「せ…」 「帰れよ」 「ぁ、あのね」 「帰れって言ってんだよ!!!」 「…ッ」 「俺と一緒にいて… また”あいつ”に見つかったらどうするつもりだ…ッ!!」 あい…つ?? 「…ッ。 誠二…あのね、あたし…アメリカ、行くの…」 「は…?」 「誠二に伝えたくて… おばさんに、場所聞いて来た…。 あした、出発…」 「…帰れよ」 清本がそう言うと、 ”かな”と呼ばれる人は病室を出て行った。